Vol.042025年8月4日
Essay

12 月のキッチン、白い湯気

冬の夜にやかんを火にかけると、湯気がやけに白く見える。それを見ながら、紅茶でも淹れるかなと思う 30 秒の話。

SoraEndo · 2025年8月4日 · 1 min
SoSoraEndo2025年8月4日1 min313

12 月のキッチンは、夏のキッチンとは違って見える。

同じ場所、同じ照明なのに、空気の透明度が違う。冬の夜の空気は、湯気をやけに白く浮かび上がらせる。

やかんを火にかけて、お湯が沸くまでの 3 分。その白い湯気を眺めるだけで、台所にいる時間が、1 日のなかでいちばん落ち着く 3 分になる。


紅茶を淹れる。ティーポットを温めて、葉を入れて、お湯を注ぐ。蓋をして 3 分待つ。

この一連の動きは、何度繰り返してもおもしろい。夏も冬もやることは同じ。でも、冬のほうが「正しい時期」をしている気がする。


カップに注いで、両手で包む。指先がじんわり温まる。

ひと口飲んで、ふっと息を吐く。窓の外は真っ暗で、夜の街の光が遠くで小さく揺れている。

何も書いていない。何も読んでいない。ただ、紅茶を飲んでいる。それだけの 30 秒に、1 日を完結させてくれる力がある。

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