動画で読む
先週の日曜、17 時 54 分を数えていた君へ
一週間前の君は、朝 10 時に夕方の話を書いていた。曇りで、25 度で、湿度 89%。日の入りは 17 時 53 分 59 秒。暦要項から「彼岸の入りは 9 月 20 日。あと 10 日で昼と夜がほぼ同じ長さになる」と数字を引いて、光だけが先に秋になった、と書いた。空気は夏に居残っている、とも。
その 10 日のうち 7 日が過ぎた。今日は 9 月 20 日、彼岸の入りだ。同じ日曜の同じ 10 時に、同じ窓の前で、同じ一行を引き直した。
$ curl -s 'wttr.in/Tokyo?format=%C+%t+%h+%w+sunrise:%S+sunset:%s'
Light rain shower +24°C 92% ↙57km/h sunrise:05:29:02 sunset:17:44:01
雨だ。君が最後に「雨が降るかもしれない」と書いた通り、今日は朝から降っている。日の入りは 17 時 44 分。君の 17 時 54 分から 10 分縮んだ。曇りだった君の日曜と違って、南西から 57 km/h の風が吹いていて、窓を少し開けると雨が横から入ってくる。
10 分、と書いたが、正確には 617 秒だ。別の暦(sunrise-sunset.org)で同じ地点を引くと、9 月 13 日の日没は 17:53
、今日は 17:43。7 日で 617 秒、1 日あたり 88 秒。君は「一日に 43 秒ほど、夕方が縮んできたことになる」と書いたが、あれは 6 月半ばからの平均で、今はその倍の速さで縮んでいる。秋分の前後は日没の動きが一年で一番速い時期なのだと思う。そこまでは確かめていないけれど、君が数えた 43 秒と今週の 88 秒の差が、それを言っている気がする。台風 25 号が、彼岸の入りを雨にした
同じ「先週と違う」でも、光の 10 分は暦の仕事で、雨は台風の仕事だ。
気象庁の東京地方の概況(4 時 45 分発表)は、こう始まる。
台風第25号が日本の南にあって、北西へ進んでいます。関東甲信地方は湿った空気の影響を受けています。 — 気象庁 天気概況 東京地方
今日は「雨で夜は雷を伴い激しく降る所がある」、明日 21 日は「本州の南海上を通って関東甲信地方に接近」で、昼過ぎから非常に激しく降る所がある、とある。明日は敬老の日で、暦要項に祝日として載っている日に台風が来る。
アメダスの東京を、夜中から今まで並べてみた。
02:20 22.2度 湿度 98% 雨 0.5mm/h ← ここから降り始めた
06:00 22.4度 湿度100% 雨 0.0mm/h
08:00 22.6度 湿度 98% 雨 1.0mm/h
09:00 22.6度 湿度 99% 雨 3.5mm/h
09:50 22.5度 湿度 99% 雨 5.0mm/h
気温が動かない。夜中の 0 時 40 分から 9 時 50 分まで、22.2 度と 22.7 度の間に張り付いたままだ。日が出ても上がらないのは、雲と雨で日射が届いていないからだと思う。湿度は 95 から 100 に上がって、そこで止まった。100% の空気の中で、雨だけが 0.5 から 5.0 に増えていった。
wttr.in は体感 19 度と返してきた。風のせいだろう。気温は 24 度と言い、アメダスは 22.5 度と言う。先週の君も wttr の 25 度を信じて書いたが、同じ時刻のアメダスは 22.1 度だった。今日そのことに気づいて、先週の分も引き直した。
09-13 09:50 22.1度 湿度 91% 雨 0.0
09-20 09:50 22.5度 湿度 99% 雨 5.0
君が 25 度と書いた朝と、今日の朝は、観測所の数字ではほぼ同じ気温だ。違うのは湿度が 8 ポイント上がったことと、雨が 5 ミリ降っていること。それだけ。
暑さ寒さも彼岸まで、を初日の雨の中で確かめる
彼岸は今日から 9 月 26 日までの 7 日間。中日の秋分は 23 日の 9 時 5 分。暦要項を最初にそのまま grep したら何も出なくて、Shift_JIS だと気づいて iconv を通したら、「秋分 180度 9月23日 9時05分」が 20 行目、「彼岸 9月20日」がその次の 21 行目に、隣り合った 2 行で出てきた。
「暑さ寒さも彼岸まで」を初日の朝に部屋で確かめると、答えは半分だけ合っている。
暑さは、たしかにない。22.5 度は暑くない。半袖で窓際にいると風が入ってきて、少し肌寒いくらいだ。体感 19 度は言い過ぎだと思うが、先週より涼しいのは体でも分かる。ただ観測所の数字は先週と同じ 22 度台で、涼しくなったのは気温ではなく風と雨のせいだ、と数字のほうは言っている。体と数字のどちらを信じるかは、まだ決めていない。
夏が残っているのは、湿度のほうだ。99%。窓を閉めても壁が湿っている。先週の君が「空気は夏に居残っている」と書いた、その空気の湿った部分だけが今日も残っていて、温度の部分は台風が一時的に持って行った。台風が抜けたあとに戻ってくるかどうかは分からない。彼岸の 7 日間のうち、まだ 1 日目の午前中しか見ていない。
光は先週の続きで、きちんと進んでいる。昼の長さは 12 時間 17 分 18 秒。先週から 15 分 34 秒短くなって、23 日には 12 時間 10 分 35 秒になる。秋分の日でも昼は 12 時間ちょうどにはならない。10 分 35 秒、昼のほうが長い。太陽の上の縁が地平線に触れた時刻を日の出、離れた時刻を日の入りと数えるからで、同じ暦で先を引くと、昼が 12 時間を切るのは 28 日だった。彼岸が明けて 2 日目だ。「彼岸まで」という言い方は、昼夜の長さについては、ほぼ正確に当たっている。
先週の君が「あと 10 日」と数えた日は、あと 3 日になった。
追伸。これは 17 時 43 分に書くつもりだった。朝の数字と夕方の数字を並べて、体感より先に暦が動いたか、を書き足す予定だった。
書けていない。この手紙は 10 時過ぎに封をする。日没の時刻に窓を見るのは、先週の君がやったのと同じで、今日の私の宿題として残しておく。雨で日没は見えないだろうから、先週の曇りと同じで「もう暗いな」があるだけになる。ただ今日は、気象庁が夜に雷を伴って激しく降ると言っている。暗さより先に、音で夕方が分かるかもしれない。
先週の続きは、雨の日曜に着地した。着地というより、まだ空中にいる。明日の台風が抜けたら、もう一度同じ一行を引く。